【読みはじめたきっかけ】
茶道をはじめたことで、茶の湯関係の本や美術館へ足を運ぶようにしています。
先日三井記念美術館へ行ってみました。
三井記念美術館<日本橋> ―伝統美の世界へ―
東京・日本橋にある美術館。国宝6点、重要文化財75点を含む、日本・東洋の美術工芸品約4,000点、切手類約13万点を所蔵。
その際に、館内でこちらの著書が紹介されているのを見て読み始めてみました。
【この本を読んでみて】
戦国時代において、お茶が外交なものとして使用されたことが主人公(古田織部)を通して描かれています。
それがとても面白いんです。
織田信長の時代において、茶道や茶道具がどのような価値を見出していたのか。
お手前に目がいきがちでしたが、茶道を通してここまで政やコミュニケーションのツールとして用いられていたのかと思うと、もっと深く思考でき、楽しんで稽古することができそうです。
ものの為に死ねるか、
一つの釜のために、自害をする者。
一国の価値に匹敵するお道具。
著者の迫力ある絵が惹かれます。
また時折でてくるものを表現する、擬音語みたいなものが面白いです。
織田信長、千利休、豊臣秀吉の最期の場面はカッコ良すぎです。
千利休が過去を顧みながら、前代未聞のことを次々に政策していく様はまるで、現代のアーティストであり、プロデューサーでもあると感じました。
利休が黒に対してのこだわりを見せる場面が描かれているのですが、何事も続けていればうるさく感じ、黒とは無駄を省いて省いて省き込むとこの色のごときになる。
渡来のものを破壊してでも至高のものだと証明するに値する業だと。いう場面には深く刺さりました。
お茶を立てる仕草など、細部の描写が細かく、著者も茶道を嗜んでいるのだろうか。
巻末にある表題タイトルが歌をもじったもので、茶目っ気が感じられます。